薄毛の元凶とか悪玉ホルモンとか、ジヒドロテストステロン(DHT)が悪く言われるのにはそれなりの理由があってのこと。
発生原因、増える理由、何をするのか、抑制・排出する方法など、DHTのすべてをお伝えします。
薄毛の原因ジヒドロテストステロン(DHT)って何?
男性ホルモン・アンドロゲンのうち、95%を占めるのが睾丸で作られるテストステロンです。
POINT
テストステロンの役割りは、筋肉の増大・闘争本能促進・体毛増加・性衝動の発現など。
男性ホルモンの名前の通り、男が男らしく存在するために働きます。
これが酵素の5αリダクターゼと結びついて変成されると、ジヒドロテストステロン(DHT)になります。
男性ホルモンは受容体と結合して機能を発揮しますが、DHTは結合力がテストステロンの10倍とも。
DHTとは、強化型のテストステロンなのです。
DHTの生成には、5αリダクターゼの働きが必須。この働きを抑えれば、DHTは作られないことになります。
強力なホルモンですが、作用は抑えなければいけません。その理由は?
ジヒドロテストステロン(DHT)の作用と役割について
DHTが働き出すのは、男性が生まれる前・胎児のころが始まりです。
胎児期6週~24週目の時期に、男性生殖器を形成して発育させるのがDHTの初仕事。
そのあとは出生後になり、一転して悪玉に変身します。
皮脂腺を活性化してニキビを作り、体毛を増やし、前立腺を肥大、性欲を減退させるなど、迷惑行為の連続。
正常な成長サイクルが乱されて、成長できないまま抜ける毛が増え、やがて薄くなってAGA(男性型脱毛症)を発症します。
出生後はあまりいい働きはしないDHT。そもそもなぜ作られるんでしょうね。
ジヒドロテストステロン(DHT)が増える原因って何?
DHTが作られる原因は、単純ではありません。コントロールできる原因も、できない原因もあるのです。
遺伝的な要因が大きい
DHTの動向には、酵素の5αリダクターゼが関係します。酵素の分泌量が増えたり活性が高かったりすると、DHTを作る能力も増大。
この量や活性には、遺伝的な影響が大きいとされます。
つまり、両親や祖父母から受け継いだ体質で5αリダクターゼの分泌量が左右され、AGAの発症につながります。
よく「ハゲは遺伝する」といわれますが、これは噂じゃなく事実。
遺伝としてハゲやすい体質が受け継がれていたんですね。
年齢による要因
テストステロンは、30歳前後から減り始めます。以後は年に1~2%ずつ減り続け、50歳ともなるとその影響で気力・体力・精力の衰えを感じたり。
POINT
テストステロンが少なくなると、機能を維持するために強力なDHTで補おうとします。
そのために、5αリダクターゼの分泌が増やされます。
すると、DHTが増えてきて衰えた体の機能は回復しますが、同時進行で髪の成長サイクルも乱されます。
成長が抑制され、AGAを発症することに。
ストレスや睡眠不足による要因
テストステロンは、生活習慣によっても少なくなります。例えばストレスを受けると副腎ホルモンが分泌され、その影響でテストステロンの分泌が減少します。
睡眠不足もテストステロンを減らします。テストステロンは睡眠中に分泌されるので、睡眠不足では確実に減少します。
2晩の徹夜で分泌ゼロになるといわれるほど。
DHT抑制で筋トレやおな禁するメリットはある?
筋トレすると、筋肉が増えたり積極的で若々しくなるだけじゃなく、DHTが抑制されるといわれます。
筋トレで増えるテストステロンの影響です。
筋トレでDHTの減少を目指すメリットは確かにあります。なので、安心して筋トレに励みましょう。
また、テストステロンはおな禁でも増えるので、DHTを抑える方向に働くメリットはあります。ただし、髪を作る亜鉛の消費は大きくなるので要注意。
ちなみに、おな禁でテストステロンが増えることは、海外の研究論文で明らかにされています。
参考元:オナ禁の科学
DHTが増えないようにする、一番効果的な方法は何でしょう。
ジヒドロテストステロン(DHT)を効果的に抑制する方法
DHTは、テストステロンから酵素の5αリダクターゼによって作られます。何らかの方法でこの酵素が働けないようにすれば、DHTは作られません。
この酵素の働きを抑える方法はいくつかあります。
薬治療が一番確実に抑えられる
5αリダクターゼの作用を阻害し、DHTを作らせない治療薬を使うのが、現在では一番確実な方法です。
国内で承認されている薬には、フィナステリド(商品名・プロペシアなど)とデュタステリド(商品名・ザガーロ)の2つがあります。
▼プロペシア
5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があり、DHTを生成する能力はⅡ型が強く、主に頭頂部や前頭部の毛乳頭に多く存在します。
Ⅰ型は側頭部・後頭部などの皮脂腺に多く分布。フィナステリドはⅡ型を抑えますが、デュタステリドは両方抑制するので、能力としてはザガーロが高いといえますね。
どちらも副作用があるのが難点で、医師の指導・管理が欠かせません。
育毛サプリや食事から抑制成分を摂る
ノコギリヤシや大豆イソフラボンには、フィナステリドと同じような5αリダクターゼ抑制作用があるとされます。
どちらもDHT抑制の定番的な成分で、多くのサプリメントに配合されています。
大豆イソフラボンは、食事として大豆の加工食品からも摂取できます。手軽で費用もかからず、ノコギリヤシよりはずっと利用しやすい成分です。
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育毛剤で抑制成分を利用する
育毛剤には、5αリダクターゼを抑制する成分が豊富に配合されています。天然成分が中心で、種類も下記のようにたくさんあります。
- オウゴンエキス
- チョウジエキス
- ヒオウギエキス
- ビワ葉エキス
- グアバ葉エキス
- クララエキス
- 緑茶エキス
- キャピキシル
- などなど
こういった成分は医薬品ではなく、作用は緩やか。たいていの育毛剤は成分を複数組み合わせるか、量を多くして有効性を確保しています。
成分に副作用の可能性はほとんどなく、安全性には問題なし。長期間使用するには、育毛剤が最も安全で効果的な方法でしょう。
5αリダクターゼ抑制以外のDHT対策
DHTを抑えるには、5αリダクターゼの阻害以外の方法もあります。
例えば、できてしまったDHTは受容体と結合し、脱毛因子に脱毛指令を出させます。
この働きを阻害して、DHTの作用を無効にしようというもの。
▼代表例はイクオス
もう一つ。こちらはDHTの分解を促し、髪の成長への影響を早くなくそうとするもの。
育毛剤やサプリでは、このような新しいアプローチでDHTの影響を排除する例も見受けられます。
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亜鉛はジヒドロテストステロン(DHT)を減らす?
DHTの生成を抑えるには、亜鉛が有効という意見が多く見られます。
5αリダクターゼを抑制する成分として、なかば定番的に亜鉛が出てきます。
参考元:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3207614
ただ、全く逆の試験結果も見られます。亜鉛を6ヵ月連続的に摂取した患者では、DHT濃度の上昇がみられたとのこと。
参考元:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7271365
このように、亜鉛のDHT抑制効果については科学的に解明されていないのが現状です。
ただし、亜鉛は髪の毛の合成には欠かせないミネラルでもあります。髪の成長には間違いなく重要なもの。
DHTはさておき、積極的に摂るべき成分ではあります。
サウナでDHTは排出できるのか?
できてしまったDHTは肝臓で分解されて尿として排出されますが、一部は汗や尿で直接排出されるともいわれます。
その関連でしょうか、サウナや運動で汗をかくとか、水を飲んで尿を増やせばDHTを減らせるという説があります。
感覚的にはいかにもありそうな気がしますが、その有効性の根拠は見当たりません。
DHTは肝臓や汗や尿に入る前に、薄毛の進行という本来の仕事を済ませています。
急いで排出を図ったとしても、影響を免れることにはならないでしょうね。
DHTで体臭が出るのは本当なの?
DHTで体臭が出るという話、いかにも悪玉ホルモンらしいですね。でも、ニンニクみたいな直接的な関係はありません。
ただし、DHTは皮脂分泌を増やすことがあります。それが雑菌の影響で分解されて、加齢臭とかミドル臭といった体臭を発生させることは十分考えられます。
「薄毛の人って脂ぎって臭そう」というのは、イメージじゃなく事実かもしれません。身辺の清潔さに気を配る必要はありそうですね。
まとめ
薄毛を起こす最大の原因DHTですが、男性にとって最も重要な男性ホルモン・テストステロンと密接に絡み合っています。
一気に消してしまえたらいいんですが、そうはいかないのが厄介なところですね。
できることは、何とか増えないように抑え込むことぐらい。幸いにもその方法ならいろいろあります。
最も確実なのは薬治療ですが、副作用や体に合わない、費用などの点で問題も。
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サプリや育毛剤、食事などでも対処は可能です。
目的はDHTを作らないことです。自分に合った方法を見つけていきましょう。