AGA(男性型脱毛症)は、薄毛になる最も大きな原因です。推定で1200~1300万人もの患者数といわれています。
原因や初期症状、治療法などについて、改めて整理してみました。
AGA(男性型脱毛症)は女性もかかる薄毛の代表
AGAは成人男性に多く見られる薄毛で、成人以降に頭頂部や前頭部から薄くなり始めます。
症状は、髪の毛が細くなることから始まって、成長できないまま抜けるので細く短い毛が多くなります。
そして、抜け毛が増え、やがては地肌が見えるように。
髪の毛には成長周期があり、成長期→退行期→休止期のパターンを繰り返します。
AGAはこのうちの成長期が短くなり、休止期に留まる毛が多くなっている状態です。
多くのパターンでは、20歳代後半~30歳代から症状が出始めてゆっくり進行。
40歳代以降で、側頭部・後頭部を残してハゲてしまうという傾向が一般的です。
この病気は進行性で、抜け毛・薄毛がゆっくり進み、自然に治ることはありません。
女性にも男性型脱毛症が起こる
AGAは男性ホルモンが関係するので、男性型という名前が付いています。
でも、女性にも起こる脱毛症で、この場合は女性男性型脱毛症(FAGA)と呼ばれます。
女性の場合は、頭頂部を中心に頭皮全体が薄くなる症状。発症時期も、更年期に集中する傾向があります。
女性ホルモンが減少、男性ホルモンの影響が強くなって発症すると考えられていますが、男性とは違う部分が多く、同じものとして説明できない症状もあります。
このため、日本皮膚科学会では今後、「女性型脱毛症」という病名に変更することを決めました。
参考元:脱毛症診療ガイドライン2017年度版
AGAは治らない病気とは、困ったもの。その原因は何なんでしょう
AGA(男性型脱毛症)の原因は男性ホルモンが関わる
AGAには男性ホルモンが深く関わっています。といってもそれが直接AGAを起こすわけではありません。
AGAを起こす直接の原因はDHT(ジヒドロテストステロン)なんですが、これの元になるのが男性ホルモンという間柄。
関連を詳しく説明すると、
男性ホルモンの95%を占めるテストステロンに、5αリダクターゼという酵素が結合し、ジヒドロテストステロン(DHT)に作り変えます。
このDHTが、毛根の受容体と結合して脱毛因子TGF-βができ、これが脱毛指令因子FGF-5に脱毛シグナルを伝達。
毛根ではFGF-5から指令を受け、成長を止めて休止期に入り、抜ける準備を始めます。
脱毛指令が成長サイクルを乱してAGA発症
髪の成長期は4~6年ですが、脱毛指令で数ヵ月~1年に短縮され、十分育たないうちに抜けていきます。
▼ヘアサイクル
出典元:花王
細くて短い毛ばかりになる(細毛化)ので、頭皮が透ける薄毛状態になり、そして、その毛も早々に抜けるため、次第にハゲた状態に移行します。
髪の寿命は成長サイクルで40~50回分といわれます。
AGAでは1回が数ヵ月に短縮されているので、最短だと10~20年もすれば寿命がつきて回復は不可能に。
薄毛でも、細毛が生えているうちは回復可能です。早いうちに治療を始めることが大切なんです。
AGA(男性型脱毛症)の原因には遺伝的要素が大きい
AGAを起こす実行犯はDHTですが、そもそもは酵素の5αリダクターゼがDHTを作るから起こること。
本当の原因は5αリダクターゼの作用にあり、この作用の強さ次第でAGAを起こすかどうかが決まるといえますね。
そして、この作用の強さは遺伝します。
それともう一つ、作られたDHTが結合する受容体の感受性も遺伝します。
遺伝的要素が2つもあるので、両親から受け継ぐAGAの発症リスクはかなり大きなもの。ハゲは遺伝するという言い伝えは正しかったんですね。
ちなみに、AGAクリニックでの検査項目にも、遺伝子検査と家系調査が入ってます。
遺伝子があるかどうかは遺伝子検査キットで判断できる
家系に薄毛の人がいると、やっぱり遺伝が気になりますね。薄毛の遺伝子が自分にも受け継がれているかは、病院やAGAクリニックでも手軽にチェックできます。
わざわざ出向くのが面倒な人には、通販感覚で自宅でもできる遺伝子検査キットがあります。
これだと、検査キットを取りよせて、ほおの粘膜か唾液を検体として採取して返送。2~3週間で検査結果が送られてきます。
検査内容は、フィナステリドへの反応(5αリダクターゼの性質)やDHT受容体の感受性などで、費用は12,000~15,000円ほど。
病院の20,000~30,000円よりは安いですが、的確な検査なら病院が上だし、結果をそのまま治療に生かせるメリットも病院にはあります。
残念ながらAGAとお付き合いが始まった場合、どう向き合えばいいんでしょうね。
AGA(男性型脱毛症)の治療方法ってどんなもの?
AGAの治療は、成長サイクルの乱れを正常に整えるもの。乱れが戻り、毛が増えたり太くなったりします。でも、薬をやめれば元通り。
乱れた原因を治したのではなく、薬の力で強制的に整えただけなので、薬をやめればまた乱れ始めます。
残念ながらAGAは完治しません。現状の治療とは、進行を遅らせたり現状を維持することが目的。
それでも症状は徐々に進行するので、段階によって対策も変わっていきます。
AGA(男性型脱毛症)の初期症状の治療・対策は育毛剤
AGAの初期では、前頭部の生え際から始まります。額が少し広くなる、髪全体のボリュームがなくなる、つむじ部分が広がるなどの変化が出てきます。
そして、分け目が目だったり、抜け毛が多いと感じたりもしますが、多くの人ではなかなか気づきにくい症状です。
特につむじは見えないし、日本人ではつむじと前頭部が同時に薄くなる例が多いようです。時折鏡で確認し、異常が見つかれば早急に対策が必要です。
初期のAGAは育毛剤で対処しよう
初期段階ではっきりした薄毛ではない状況なら、対策は育毛剤がいいでしょう。
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早いほどいいので、気づいたらすぐ対応するのがベスト!
育毛剤は、抜け毛の抑制、育毛促進などとともに、頭皮の健全化が望めます。
POINT
作用が穏やかで副作用の心配はほとんどなく、値段はおおむね6,000~7,000円以下。
通販の育毛剤では、全額返金保証制度がほぼ標準装備です。もし頭皮に合わないとか敏感肌の人でも大丈夫。
金銭的なリスクなしで始められます。
薄毛の家系なので予防したい人、何とか現状でとどめたい人など、育毛初心者には、育毛剤での初期対応が最適です。
症状が進んだら診療ガイドライン推奨の薬での治療
症状が進むと、前頭部では生え際の後退が進み、はっきりしたM字になってきます。中央部もスカスカで寂しくなるし、つむじは大きく見えるように。
髪全体のボリュームがなくなって、自分でも周囲からも薄くなったのがわかる段階です。
さらにもう少し進むと、M字がU字になったり、つむじの周辺が透けてきます。
このあたりになると、本格的なAGA治療薬が必要に。髪が抜けるのを食い止め、少なくなった毛を増やす薬治療です。
学会推奨の医薬品で脱毛防止と発毛をめざす
日本皮膚科学会では、AGAの診療ガイドラインを作成しています。その中で、治療に有効性が認められ、使用を推奨する医薬品をリストアップしました。
そのうち、使うことを「強く推奨する」Aランクにはフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルの3つの薬が入っています。
POINT
フィナステリド、デュタステリドは5αリダクターゼを抑制、ミノキシジルは発毛を促す作用を持ち、組み合わせて使うとAGAの薬治療では最強の治療法になります。
ただし、女性にはフィナステリド、デュタステリドは処方されません。
効果が確認されていないのと、胎児への悪影響が危険視されるためです。
治療は皮膚科がいい?それともAGAクリニック?
一般病院では、AGA治療の担当診療科は皮膚科になり、AGAの進行を抑える薬治療が基本。
皮膚科ではAGA以外の脱毛症治療も扱うので、あまり専門的なAGA治療は得意ではありません。
AGAに特化した検査や診断なら、AGAクリニックのほうが満足度が高いでしょうね。
病院でも発毛外来などを設置しているところもありますが、AGAの知識や治療経験が豊富な専門クリニックの方が、より満足度の高い治療が期待できるでしょう。
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AGA(男性型脱毛症)の最強治療法はメソセラピー
AGAの薬治療で使われるフィナステリドやデュタステリドは、内服薬なので飲んだあとは身体全体に拡散してしまいます。
外用のミノキシジルにしても、頭皮からの吸収は限定的。
より効果的なのは、専門クリニックで行っている「メソセラピー」という方法です。
薬剤を直接頭皮に注入するので、有効成分が体内に拡散することなく、必要としている部分に直接届きます。
内服や外用に比べ、格段に効果的な治療法なのです。
薬剤はフィナステリドやミノキシジルがメインで、それに成長因子やコエンザイム、ミネラルなど独自の処方をプラス。
状況に合わせた、最適な処方が可能です。
まとめ
いったん発症したら、ゆっくりながら確実に進行するAGA。何もしないと着実に薄毛への道をたどります。
発症する人は数多く、だれにでも可能性はあります。対応が遅れるほど髪の寿命は縮むので、早めに対処することですね。
初期のうちなら育毛剤で、薄くなっていても薬治療で改善可能です。
ただ、遺伝が関係する部分も大きいので、心配な人は一度検査しておくと何かと安心でしょう。
まずは自分の状態を見極めることです。そして、それに合わせたベストな道を選んでくださいね。