古くから民間薬として重宝されてきたセンブリ。胃腸薬としては広く知られていますが、近年もう一つの顔、育毛効果が注目されています。
多くの育毛剤にセンブリエキスとして配合されている、その効果について詳しく紹介しましょう。
センブリエキスとは?
センブリはリンドウの仲間。花をつける時期のものを乾燥させ、振り出したり煎じて使います。
粉末にしたものも健胃・止瀉薬として市販されます。熱湯の中で千回振り出してもまだ苦いのが、千振(センブリ)とよばれるゆえんです。
センブリからエタノールで成分を抽出したのがセンブリエキスです。よく漢方薬といわれますが日本固有の生薬です。
中国で使うのは近縁種の利胆草で、肝炎などに使います。第三類医薬品で日本薬局方にも記載されています。
最近になって血行促進や細胞分裂を活発にする作用が明らかになりました。その育毛に対する効果に注目が集まり、育毛剤、育毛シャンプーにセンブリエキスが有効成分として使われるようになっています。
センブリエキスの何が育毛に効果的?
育毛に働くセンブリエキスの成分とは
センブリエキスには毛の成長に関わる成分がいくつも含まれます。次のような成分がそれぞれの働きで毛の成長を促します。
名称 | 働き |
---|---|
キサントン | 抗炎症、抗酸化作用 |
スウェルチアノリン | 血行促進作用 |
スウェルチアマリン | 血行促進作用、抗炎症作用 |
スウェルチアニン | 血行促進作用 |
ゲンチオビクロシド | 抗酸化作用 |
アマロスエリン | 毛乳頭細胞活性化作用 |
アマロゲンチン | 毛乳頭細胞活性化作用 |
スウェロシド | 消炎鎮痛作用 |
トリテルペン | 抗炎症、抗腫瘍作用 |
トリテルペノイド(オレアノール酸) | 抗炎症、抗腫瘍作用 |
育毛に有効な成分の働きをまとめると、血行促進、毛乳頭活性、抗炎症、抗酸化といった作用になります。
このような複数の作用が単独で、または互いに関連しあって髪の毛の成長を効果的に促します。
血行を改善して栄養を届ける
血液の流れは生活習慣やストレス、運動不足などで滞ります。
すると、血液で運ばれる栄養分が不足、髪の毛や頭皮に必要な栄養が運ばれません。
そうして、抜け毛になったり細い毛が多くなって髪が薄くなります。
センブリエキスに含まれる血行促進成分はスウェルチアマニン、スウェルチアノリンです。この成分が毛根部に作用、毛細血管を流れる血流を増やして栄養を毛乳頭や毛母細胞に届け、毛の成長を促します。
毛根部を活性化して細胞分裂を促進する
センブリエキス中のアマロゲンチン・アマロスウェリンは、毛乳頭に作用してその働きを活性化する成分です。毛乳頭は毛の根元にあって、毛細血管につながっています。
毛細血管から栄養を受け取り、毛の元になる毛母細胞に供給するとともに、毛の成長をコントロールする重要な部分です。
アマロゲンチン・アマロスウェリンがこの毛乳頭の働きを活発にすると、髪の毛になる毛母細胞の細胞分裂が盛んになって髪の毛の成長が促されます。
抗酸化作用でエイジングケア
体には適量の活性酸素があって、外部から細胞を守っています。これが増え過ぎるとその強い酸化力で逆に細胞を傷めてしまい、皮膚の老化につながります。
頭皮の場合は紫外線で活性酸素が増え、その作用で老化が進んでしまうのです。頭皮の老化によって毛乳頭・毛母細胞も活性を失い、成長力が衰えて毛が抜けやすくなります。
また頭皮以外の皮膚でも酸化による老化が起こります。シワやシミ、たるみなどのトラブルも酸化による老化が原因です。
センブリエキスで抗酸化作用を持つのはキサントン、ゲンチオビクロシドの2つの成分です。この成分によって活性酸素による酸化を防ぎ、頭皮や毛根部分の老化を防ぐアンチエイジング作用が期待できます。
抗炎症作用で頭皮を健康に保つ
頭皮に起こる炎症の原因の一つは、頭皮に皮脂が過剰分泌される脂漏性皮膚炎です。炎症がある頭皮からは元気な毛は成長できず、抜け毛が多くなり脂漏性脱毛症に進むこともあります。
逆に頭皮が乾燥し過ぎて起こる炎症もあります。ふけやかゆみを伴い、掻きむしって炎症を悪化させたりします。こちらも抜け毛が増える炎症の原因の一つです。
センブリエキスの成分スウェルチアマリン・キサントン・スウェロシドなどが抗炎症作用を持ち、炎症を防いで毛が成長する頭皮環境を健全に保ちます。
センブリエキスを内服で飲むと胃腸もGOOD!
昔からの使い方で、胃腸薬としても育毛効果が期待できます。体質的に胃腸が弱く、食欲不振に悩むようだと栄養も不十分になります。髪の毛にも影響が及び、抜け毛が増えてくるでしょう。
そんな人がセンブリを習慣的に飲むと胃腸の働きが活発になり、食欲が増して栄養状態の改善が期待できます。髪の毛にも栄養が回り抜け毛も減ってくることが望めます。
昔のやりかたで煎じるとかなり苦いサプリメントですが、粉末も市販されています。育毛剤と併せて続ければいい結果が得られるでしょう。
発毛促進効果の実証試験があった
平成元年8月に発行された「皮膚」という雑誌に、センブリエキスによる実証試験結果が掲載されました。AGAの男性14人に、センブリエキス22.5%の溶液を4ヵ月塗り続けた結果3人に硬毛が増えたそうです。
出典元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/skinresearch1959/31/4/31_4_541/_pdf
もう一つは、昭和53年7月発行の「臨床皮膚科」という雑誌に掲載された試験結果です。30人の難治性脱毛症(AGA?)の人に濃度22.5%のセンブリエキスを塗った結果、1/3に有効、2/3がやや有効以上だったとされています。
いずれもメカニズムの解明はなく、その後の展開もないようです。高い濃度での効果なので即商品化は難しかったのかも。でも今の育毛剤に使われるきっかけにはなっているのかもしれませんね。
参考元:http://medicalfinder.jp/doi/abs/10.11477/mf.1412201924
センブリエキスはサポート役が最適?
センブリエキスの育毛効果については疑うところはありませんが、そのパワーは例えばミノキシジルよりは数段落ちます。
生薬なので作用は穏やか。主成分として力を誇示するには不向きでしょう。でも守備範囲の広さは相当なもの。個性的な生薬成分のサポート役にはうってつけです。
例えばやはり複数の効果を持つM-034を主成分、サブ成分をセンブリエキスにすれば、かなり高い相乗効果が期待できそうです。
事実このあたりに着目した育毛剤がいくつかあります。イクオス、チャップアップといった人気の高い育毛剤はこの成分構成です。この線で育毛剤を選べばハズレはないでしょう。
センブリエキスに副作用はある?
センブリエキスに副作用はありません。
でも、胃腸薬として使う場合、食欲不振やもたれ、消化不良にはいいかもしれませんが、胸やけなどではかえって不快感が増すことがあります。体質・体調により合わないこともあるようです。
育毛剤のような外用では、人によっては軽いアレルギー症状が出る可能性があります。かゆみとか皮膚の赤みが出たら、使うのをやめて様子を見ましょう。
センブリエキスの安全性はテスト済!
安全性については過去に実証試験が行われています。昭和63年に報告された試験で、3回にわたって健康な頭皮の人と、湿疹などのある皮膚科の受診患者を対象に行われました。
出典元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/skinresearch1959/30/2/30_2_136/_pdf
センブリエキスの濃度22.5%と11.25%の液剤を使い、頭皮に密着させるパッチテストが行われました。
結果として健康な頭皮に関する限り、アレルギーを含めて何の支障も起こらず、安全に使用できることが確認されています。
また、平成元年に報告された発毛効果の実証試験の際、4ヵ月間の試験期間後も頭皮に異常は起こらず、長期間でも安全に使用できることが確認されたという報告が付記されています。
まとめ
日本人にはなじみの深いセンブリエキス。長い使用実績があり、安全性は完璧な成分ですね。
育毛効果のメインとしては比較的穏やかな血行促進と毛乳頭活性化があり、補完的なものに抗炎症、抗酸化作用による頭皮の改善効果があります。
発毛作用はしくみが未解明で、効果確認とまではいかないようです。ともあれ育毛作用への信頼性は高く、それが多くの育毛剤に有効成分として採用されている理由でしょう。
そして刺激や副作用もない安全性。例えていうなら優秀な名脇役といったところでしょうか。
センブリエキス配合でおすすめ育毛剤は?
センブリエキスは多くの育毛剤に含まれますが、おすすめを挙げろといわれたら、イクオスとチャップアップになします。
▼イクオス
▼チャップアップ
育毛剤だけならチャップアップですが、強力な育毛サプリ付きならイクオスが安くて、配合成分も充実しています。
用途に応じて選ぶのがいいですね。予防程度ならチャップアップ、対策となるとサプリ付きのイクオスです。
どちらも長く使ったことがあるので、参考にしてください(^^)